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「音だけで、人の心は動かせる」チェリスト:諸岡由美子さんインタビュー


「音だけで、人の心は動かせる」

 

 多くのジブリ音楽のチェロを担当し、CM音楽、ポピュラー音楽のバックミュージシャンとしても活躍する国内随一の気鋭のチェリスト。そんな前評判を聞いて、非常に緊張してインタビューに臨んだが、その緊張はインタビューの前に聴いた演奏でものの見事に崩され、溶かされ、気づくとその世界の虜になっていた。今回は、「音だけで、人の心は動かせる」そのことを身をもって証明したチェリスト、諸岡由美子さんにインタビューする。

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 こんにちは。お時間ないところすいません。本日はよろしくお願いいたします。
ーいえいえ、よろしくお願いいたします。

 

 最初に、ここでライブをすることになった経緯を伺いたいのですが。諸岡さんのお方ともなればもっと大きなホール等でできるでしょうに。

ー以前知り合いの歌手の方がここでコンサートをしていて、飛び入りで演奏させ ていただいたのがきっかけですね。一目惚れでしたね。ここで弾きたい!って思っちゃったんです。

 

 なぜそう思っていただけたのでしょう?

ー自分は感覚人間なので、なぜかと言われても難しいのですが、見て、聞いて、 感じて、素敵だなと思ったからですね。ここで演奏したいなと思うと、すぐにどんどんイメージが湧いてきたんですね。「ハープを入れよう、ハープとチェロだけでは寂しいから ピアノを入れよう!」と。そして今日の編成が決まりました。(インタビュー当日は2月 14日のバレンタインで、その企画としてチェロ、ハープ、ピアノの編成でのライブが行わ れた)

 

 そのイマジネーションはすごいですね。普段自分は歌詞の付いている歌ばかり 聴いているので、先ほどの演奏を聴いて最も驚いたのは、音だけでなんだかどうしようも なく泣きそうなくらい感動しちゃったことなんです。その表現力というのはそのイマジネーションから来たりしているのですか?

ー私たち楽器の演奏家というのは、表現において言葉がないんです。それは弱み のようだけど、実は強みであったりもして。「表現に国境はない」なんて言いますけど、 本当に音だけで勝負できるようになればまさに国境はないんです。伝わるものは、やっぱり伝わるものなんです。

 

 素晴らしいですね。どのようにして表現力を鍛えられているのですか?

ー一つの音でも百種類のの引き出しがあるので、それを勉強する。こういう情景 なら。こういう場面なら。音の組み合わせやそれを選ぶ感覚を研ぎ澄ましていくんです。 ただ、最も言えることは、それは自分一人じゃできないということ。今の私があるのは出 会いのおかげです。出会いには本当に恵まれましたね。

 

 なるほど。これまでの人生の中で、最も大きかった出会いというのはなんでし ょうか?

ーそもそも、私医師になりたかったんです。でも、あるときドイツ人のチェリス トに一目惚れして、「この人になろう」と決めたんです。その人に習って、チェリストと してのキャリアを積んできました。

 

そこからジブリをはじめとした様々な映画、CMにまで活躍の場を広げられて いる今があるというわけですね。

ーそうですね。ただ、私なんてまだまだですよ。すべてが終わりじゃなくて始ま りなんです。毎日新たなものを発見する日々ですよ。

 

深いですね。将来の展望等はありますか?将来やりたいこととか。

ー地震とか火山とか、洪水とか。いろいろありますよね。そこで音楽でできることはなんだろう、と。そこで自分にできることをやりたいです。以前、南三陸や宮城に行 って、体育館で、小学生の前で演奏したんです。その時の反応の中で気づいたのが、フェ ーズの違いがあるなということ。震災直後は、「一人じゃない」とか「花は咲く」とか、 言葉で励ますフェーズだったと思うんですけど、しばらく経つと、与えられた言葉じゃな くて自分で考える必要が出てくる。復興というのは決して一義的なものではないですか ら。その時に歌詞ではなく、音楽をじっくり聴くということは助けになるなと感じまし た。人間は決して一人じゃない。周りの人のおかげで今の自分があるように、自分も、周りに私ができることをしっかりやりたいですね。

 

素晴らしいです。最後に、くるくるに対して一言お願いできますか?

ー一目惚れしたこの場所で弾くという夢を叶えてくれたことに、感謝です。

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